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インドネシア通信
 

インドネシア通信 Vol.2

インドネシアは安くない?

 インドネシアへの進出を目指す企業の多くは、コストの安さをその理由として考えています。とくに昨年は円高が進み、日本国内ではやっていけないと、海外進出へ覚悟を決めた企業も多かったことでしょう。実際、「親日的なインドネシアへ行けば何とかなる」というノリで、進出してしまった企業も少なくなかったと聞きます。

 しかし、インドネシアは本当に日本に比べて「コストが安い」のでしょうか。このように言うと、驚く方もいるかもしれません。単なる金額の比較でなく、その質も含めてみると、インドネシアが決してコストの安い国ではないことが分かってしまいます。

 経済成長は賃金の上昇を伴います。ジャカルタやその周辺では、今年の最低賃金は昨年より40%前後上昇しました。最低賃金は独身・就業1年未満の生活を満たすという基準ですので、それ以外の労働者へはより多くの賃金を払わなければなりません。

 他方、労働生産性は決して低くはないのですが、中国に比べると同水準の賃金で生産性は半分近く、つまり、生産性基準で見ると、インドネシアの労働者は中国の2倍近くコストがかかるということになります。賃金上昇は、外資系企業だけでなく地場の中小企業でも機械化への動きを加速させています。インドネシアはもはや、安い労働力をたくさん使って雇用創出を最優先する時代を終えつつあるといえます。

 賃金以外でも、工業団地の用地価格がジャカルタ周辺では1平方メートル当たり200万ルピア(約2万円)以上へ上がり、場所もなかなか見つかりません。工業団地と港湾やジャカルタ市内とを結ぶ高速道路は渋滞、物流に関する時間の計算が難しくなり、ここでも余計なコストが発生します。外国人向けコンドミニアムの価格も上昇していて、生活費も意外にかかってしまいます。

 ただし、ジャカルタとその周辺を外せば、インドネシアでもまだまだコストを抑えた事業を行うことは可能なのです。たとえば、中ジャワ州は全国で最低賃金が最も低く、ジャカルタの半分以下です。もちろん、私たちも、現地の人々の生活などから、コストを抑える知恵を学ぶことが求められてくるのです。


松井 和久
松井 和久 インドネシア・スラバヤ在住
銀座セントラルグループ顧問
1962年福島県福島市生まれ。
一橋大学社会学部卒業、インドネシア大学大学院修士課程修了(経済学)
アジア経済研究所入所、1985年から2008年までインドネシア担当。
1995年から2010年まで3度に亘り、JICA専門家としてインドネシア・マカッサルに滞在。
2010年6月からJETRO専門家(インドネシア商工会議所アドバイザー)としてジャカルタ勤務。編著、論文、エッセイ、講演多数。
 
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