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インドネシア通信
 

インドネシア通信 Vol.3

景気後退覚悟で通貨防衛、でも中期的には楽観

 インドネシアの通貨ルピアの下落傾向が続いています。対米ドルレートは2013年1月2日の1米ドル=9685ルピアだったのが、7月前半に1万ルピアを超え、9月20日時点では1万1352ルピアとなっています。

 日本などからの企業進出が相次ぐインドネシアでは、昨年許可された製造業投資が機械・設備などの資本財の輸入を増やしたことのほか、昨年800万台販売された二輪車や100万台を超えて販売された自動車が必要とするガソリン・軽油の輸入増(インドネシアには競争力のある精製設備がないため)などによって輸入が増えました。

 他方、世界経済の低迷でインドネシアからの輸出は伸び悩み、経常赤字のみならず、貿易収支もここ数十年では初めて赤字となる事態に陥りました。インドネシアは石油や天然ガスの産出国なので、基本的に輸出が輸入を上回る貿易黒字国だったのですが、石油の産出量が減少し、石油輸出国機構(OPEC)からもしばらく前に脱退しました。

 経常収支赤字を埋めるには、直接投資や証券投資による資本投資を増やす必要があり、インドネシアは今、輸出指向の外国投資の誘致に躍起になっているのです。日本からの企業進出でインドネシアからの輸出を考えている場合には、インドネシア経済にとってとても重要な意味を持つことになります。

 果たして、経常収支赤字が続くなかで、通貨ルピアはこのまま落ちていくのでしょうか。基本的に、インドネシア国内要因からルピアが強くなる要素は見えてきません。

 しかし、明るい兆しも見えてきました。まず、米国連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和策の縮小を見送ったことで、新興国の通貨売り傾向が一段落したことは、インドネシアにとっても朗報です。新興国からの資金流出にともかく歯止めがかかったと言えます。また、中国経済が予想より好調を維持していることや日本の景気回復も明るい材料です。インドネシア国内の消費需要は若干弱まったとはいえ、依然として底堅く、低価格グリーンカーの導入によって、自動車販売の落ち込みもある程度カバーできそうな見通しになってきました。

 インドネシア政府は、2013年の成長率見込みを6.2%から5.9%へ再び下方修正しました。公定歩合の役割を果たす中銀レートも過去1ヵ月の間に2回に分けて6.5%から7.25%へ引き上げられました。そこには景気後退を覚悟してでも通貨ルピアを防衛する意気込みが感じられます。インドネシア経済はしばらく耐える時期になりますが、その先には、まだまだ成長と景気拡大の可能性が秘められているといえます。

松井 和久
松井 和久 インドネシア・スラバヤ在住
銀座セントラルグループ顧問
1962年福島県福島市生まれ。
一橋大学社会学部卒業、インドネシア大学大学院修士課程修了(経済学)
アジア経済研究所入所、1985年から2008年までインドネシア担当。
1995年から2010年まで3度に亘り、JICA専門家としてインドネシア・マカッサルに滞在。
2010年6月からJETRO専門家(インドネシア商工会議所アドバイザー)としてジャカルタ勤務。編著、論文、エッセイ、講演多数。
 
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