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インドネシア通信
 

インドネシア通信 Vol.4

インドネシアの産業化を担う自動車産業

 ジャカルタ名物の渋滞。たまにボロボロの中古車も見かけますが、きれいな車が並んでいます。ジャカルタが渋滞するのは、自動車がたくさん売れているからで、道路などのインフラ整備の不備が指摘されるものの、国民が豊かになり、モータリゼーションが進んでいることの表れでもあります。渋滞はある意味、豊かになるインドネシアを象徴する現象で、国民も渋滞づくりに一役買っているというべきでしょう。

 昨年(2012年)のインドネシア国内の自動車販売台数は110万台となり、タイに続いて年間100万台を超えました。自動車の購入には、ノンバンクなどの自動車消費者ローンが使われます。政府はローンの頭金規制や金利上昇などにより、バブル気味の消費を抑えようとしましたが、自動車購入ブームは根強いものがあります。

 9月には、1台1億ルピア(約100万円)程度の低価格グリーンカーが日系各社から発売されました。価格が手頃になり、予約が殺到、中間層の自動車購買意欲を掻き立てています。燃費が良く、環境に優しいのが特徴で、奢侈品販売税免除など政府による優遇策もあり、日系以外の他社も参入を狙っています。何となく、マイカーを夢見ていた日本の1970年代を思い出させる光景です。でもおそらく、渋滞解消がますます先送りになる可能性をも高めていると言えるかもしれません。

 インドネシアが自動車輸出国であることは、日本であまり知られていないかもしれません。キジャン・イノーバなど商用車を中心に、中東、アフリカ、ラテンアメリカなどへ、インドネシアでの完全現地組立(CKD)も含め、約20万台弱の自動車がインドネシアから輸出されています。日系メーカーも、2015年のアセアン自由貿易地域開始を睨んで、タイトの役割分担を意識しながら、インドネシアを重要な自動車輸出国として認識しています。その意味でも、自動車部品生産を担う様々な日本の中小企業のインドネシア進出は、インドネシアの自動車産業を支える重要な役割を果たすことになります。

 インドネシアでは今、労働コストの上昇などにより、縫製品、繊維、家具など、低賃金で労働力を多用する労働集約産業の国際競争力が薄れ、産業化を進めにくい困難な状況に直面しています。国際収支を改善するためにも、新たな輸出競争力のある産業が必要になっています。輸出を念頭に置き、国内生産を拡大させていく自動車産業は数少ないそうした産業となる可能性があります。すなわち、インドネシアの自動車産業をリードする日系メーカーやそれを支える日本の中小企業の役割が一段と重要になる、ということでもあります。

松井 和久
松井 和久 インドネシア・スラバヤ在住
銀座セントラルグループ顧問
1962年福島県福島市生まれ。
一橋大学社会学部卒業、インドネシア大学大学院修士課程修了(経済学)
アジア経済研究所入所、1985年から2008年までインドネシア担当。
1995年から2010年まで3度に亘り、JICA専門家としてインドネシア・マカッサルに滞在。
2010年6月からJETRO専門家(インドネシア商工会議所アドバイザー)としてジャカルタ勤務。編著、論文、エッセイ、講演多数。
 
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