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インドネシア通信
 

インドネシア通信 Vol.5

最低賃金水準はあくまで判断材料の一つ

 インドネシア各地で、来年2014年の最低賃金水準が決定し始めました。2013年が前年比30%台の高い上昇率だったことから、2014年がどれくらいの上昇率になるかが注目されていますが、今のところ、おおよそ20%前後で収まっている様子です。政府は、物価上昇率+10%以下(労働集約産業の場合は+5%以下)という目安を出していましたので、ほぼその線で収まりそうな気配です。

 インドネシアの最低賃金の計算では、単身の就業1年未満の者が生活必需品の購入に必要な額(KHL)を定め、それに上乗せをする形を採っています。ですから、就業1年以上の者や就業1年未満でも既婚者には、当然、最低賃金を上回る賃金を支払わなければなりません。その意味では、最低賃金はあくまでも目安に過ぎないわけです。

 首都ジャカルタの2014年の最低賃金水準は前年比10.9%増の244万1301ルピア(約2万1228円)に抑えられましたが、工業団地が多く立地する西ジャワ州ブカシ県では前年比22.25%増の244万7445ルピア(約2万1282円)となり、ジャカルタを上回りました。ブカシ県のそれは基本額で、第1グループ(金属・電機・自動車)ではさらに高い281万4562ルピア(約2万4474円)と定められました。おそらく、この額が全国で最も高い最低賃金水準になるものと思います。

 地方でも、全国第2の都市である東ジャワ州スラバヤ市が前年比26.44%増の220万ルピア(約1万9130円)で、ほぼ同じ水準となった周辺県も含めて、ジャカルタ周辺とあまり変わらないレベルとなりました。他方、東ジャワ州や中ジャワ州では、最低賃金が100万ルピア(約8695円)のところもあり、低賃金労働を求める投資の立地場所として魅力ある地方もまだ数多くあります。

 しかし、投資を決める基準は最低賃金水準だけではないはずです。地方政府の許認可手続がスムーズかどうか、余計な出費がかからないかどうか、なども重要なポイントになるはずです。最低賃金は高くとも、事業のしやすさや流通システムなどの整備状況がよければ、投資はしやすくなります。最低賃金水準は、あくまでも投資が適正かどうかを判断する材料の一つと考えておく必要があると思います。

松井 和久
松井 和久 インドネシア・スラバヤ在住
銀座セントラルグループ顧問
1962年福島県福島市生まれ。
一橋大学社会学部卒業、インドネシア大学大学院修士課程修了(経済学)
アジア経済研究所入所、1985年から2008年までインドネシア担当。
1995年から2010年まで3度に亘り、JICA専門家としてインドネシア・マカッサルに滞在。
2010年6月からJETRO専門家(インドネシア商工会議所アドバイザー)としてジャカルタ勤務。編著、論文、エッセイ、講演多数。
 
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